柴犬、太郎の物語

太郎０歳

　僕は太郎。このお家で一番小さい。しづくはその次に小さい。次に小さいのがお兄ちゃんで、その次に小さいのがお姉ちゃん。その次が、お母さん、次がお父さん。
　僕はしづくが好き。一緒に遊んでくれるから、一番遊んでくれるから。しづくは僕のことかわいいーって言っていっぱい撫でてくれるんだ。気持ち良いんだ。

　お散歩もしづくと行くのが一番好き。お母さんとの時は歩かないといけないけど、しづくとは、一緒に走ってかけっこできるんだ。いっぱい走れて、僕、すごく楽しい。

　夜はしづくと一緒に眠るんだ。お父さんはダメって言うけど、しづくがこっそり抱っこして連れて行ってくれる。しづくのお部屋で、ふわふわのベットで、しづくにひっついて眠るんだ。

　今日、しづくがコラッって言った。僕、しづくに嫌われたのかな？どうしよう。けど、しづくは遊んでくれた。笑って一緒に遊んだ。良かった、嫌われてなかったんだ。
　けど、またしづくに、コラッって言われた。しづく、僕がおしっこするとコラッって言う？おしっこダメなのかな？でも、僕おしっこ我慢できないよ？どうしたら良いんだろう？
　お庭でおしっこした時はコラッって言わない。そうか、お家の中でおしっこしたらダメなんだ。きっとそうだ。

　しづくがいつも居る部屋は段がいっぱいあって、僕、行きたいのに行けないんだ。段の前で、僕が「わんっ」って言うと、しづくが上の方で顔見せてくれる。しづく笑ってる。僕、嬉しくて尻尾いっぱい振っちゃうんだ。

　どうして僕、『ワン』しか言えないんだろう？みんなみたいに話そうと思うのに、声にだすと『ワン』になる。どうしてかな？もうすぐ言えるようになるかな？

　みんながごはん食べてる時、僕、こっそりテーブルの下に隠れるんだ。そこで静かに待ってると、しづくの手が伸びて来て、おいしい物くれるんだ。僕、みつからないようにじっと待ってるんだけど、よだれがでちゃう。我慢できなくてワフッって声が出ちゃう時があるんだ。そしたら、お母さんにばれて、怒られる。