柴犬、太郎の物語

太郎０歳

　お庭の塀の上に、黒い色のひげの長いヤツが来る。あいつ、長いしっぽを振ってじーっと僕を見てるんだ。おまえ乗れないだろうって顔するんだ。しっぽを捕まえようとするとひょいっってかわされる。僕、腹が立ってつい、ワンワンワンって大きな声で言っちゃうんだ。そしたら、お家の中からお母さんが出てきて、怒られる。
　僕、悪く無いのに。

　僕、しづくがいつも居る部屋へ行けるようになったよ。あの段、あれ、階段って言うみたい。階段の上まで行くと、僕、手で戸をカリカリってするんだ。そしたら、しづくが出てきて笑って中へ入れてくれるんだ。