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真栄田が僕の顔を覗き込みながら言う。
最悪だ、こんな連中と監禁だなんて。何の目的で僕たちはこんな事をされている?
知るもんか。僕が聞きたい。
「知るわけ……」
『知らないのも無理はないよ。だって、このゲームは君たち人類にとっても、ボクたち天使にとっても初の試みなんだから』
その時、僕の声と重なって少女の声が部屋中に聞こえた。
放送かと思ったが、それにしては声がクリア過ぎる。まるで、テレパシーのような。
「この声……」
『おはよう、全員目が覚めたようだね。催眠の魔術といえ、そのまま死なれたらどうしようかと思ったよ』
声と共に部屋の真ん中付近で、カメラのフラシュのような閃光が走った。
一瞬、目を閉じた後、そこには小柄な、中性的な少女が立っていた。
「ああ、自己紹介が遅れたね。ボクの名はエル、このゲーム……【幸福の忘却】の進行役でもあり、神に仕える天使だ」
異様に白い肌、白銀の髪、全身の白装束……そして背中に生えた純白の羽根。笑みを常に絶やさない柔らかな表情。
僕らが一般的にイメージする天使の姿そのものが、今目の前に立つ少女だった。
「天使……だぁ?」
少女を見て最初に口を開いたのは真栄田だった。
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