第1話 忘却の始まり

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 真栄田が僕の顔を覗き込みながら言う。  最悪だ、こんな連中と監禁だなんて。何の目的で僕たちはこんな事をされている?  知るもんか。僕が聞きたい。 「知るわけ……」 『知らないのも無理はないよ。だって、このゲームは君たち人類にとっても、ボクたち天使にとっても初の試みなんだから』  その時、僕の声と重なって少女の声が部屋中に聞こえた。  放送かと思ったが、それにしては声がクリア過ぎる。まるで、テレパシーのような。 「この声……」 『おはよう、全員目が覚めたようだね。催眠の魔術といえ、そのまま死なれたらどうしようかと思ったよ』  声と共に部屋の真ん中付近で、カメラのフラシュのような閃光が走った。  一瞬、目を閉じた後、そこには小柄な、中性的な少女が立っていた。 「ああ、自己紹介が遅れたね。ボクの名はエル、このゲーム……【幸福の忘却】の進行役でもあり、神に仕える天使だ」  異様に白い肌、白銀の髪、全身の白装束……そして背中に生えた純白の羽根。笑みを常に絶やさない柔らかな表情。  僕らが一般的にイメージする天使の姿そのものが、今目の前に立つ少女だった。 「天使……だぁ?」  少女を見て最初に口を開いたのは真栄田だった。     
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