30人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「ははははは! なんだこれ、新手のキャバ勧誘か何かか? 最近のはすげーなこんなガキにコスプレまでさせて客引きかよ! 犯罪じゃねーの」
真栄田は小馬鹿にしたように笑う。それどころか、ジロジロと少女の身体を観察し始めた。
「うーん、やっぱり信じてもらえないか」
「ああ、天使なんだろ? キャバ代タダににてくれんなら信じてやるよ」
真栄田は少女の頭に手を乗せ、子供をあやすような素振りをした。
しかし、その振る舞いが少女の癇に障ったのか、少女の目つきは一瞬で変わった。
「……気安く触れるな、蛆が」
少女が真栄田の手を軽く振り払った……ように見えた。あくまで僕にはそう見えた。
しかし、実際には違った。真栄田の両腕は、鋭利な刃物で切り落とされたかのように、血しぶきを上げながら地面へ落下していた。
「あ、ああ……あ?」
真栄田は泣き叫んだりする様子は無かった。ただ、床に転がる自身の両腕を見ても現実を受け入れられないように茫然としていた。
「ああ、ごめんね。腕を振り払ったつもりが……君たち人間が馬鹿みたいに脆いことを忘れてたよ」
少女は欠伸交じりで真栄田に謝罪した。
その瞬間、茫然としていた真栄田の表情は怒りに染まり、目の前の少女を睨み付ける。
「クソガキ殺してやる……」
「おや、まだ分からないのかな。本当に人間とは馬鹿な生き物だ」
最初のコメントを投稿しよう!