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僕はまだ昼食をとってなかったが、こんな場所で食事をする気は無かった。こんな低能が蔓延した教室で食事なんて、反吐が出る。
……こんな場所で馬鹿に囲まれるくらいなら、まだ『あそこ』の方がマシ……。
そう思い弁当とスマホを持って席を立った瞬間、誰かが僕の前に飛び出してきた。
突然の事に反応が間に合わず、思い切り肩同士がぶつかった。
「……いってぇなぁ金子クン? どこ見てんのよ」
「……そ、そっちが」
「は? てめぇがボサッとしてるからだろ? 俺が悪いわけ?」
因縁をつけてきたのはクラスで一番の不良生徒の真栄田だった。
僕の一番苦手……いや、嫌いな人種。頭が悪い癖に態度だけでかくて、横暴で……。
相手にするだけ無駄だ、今は『一応』謝っておいてやるか。
「……す、すいま」
あ、あれ。声がうまく出ない。
「何びびってんのお前。別に止めはしねぇよ? 昼休みは金子クンの貴重な便所飯タイムだからなぁ?!」
真栄田は教室中に聞こえるようにわざと大声を張り上げた。
教室の隅からは嘲笑のような小さな笑い声が漏れた。教室中の視線が、僕と真栄田に向けられている。
「……ち、ちが」
駄目だ、声が出ない。否定しなければならないのに。
お前らと一緒の空気を吸いたくないから、『仕方なく』便所で飯を食っているんだ。
「気持ち悪いなぁお前」
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