第2話 幸福の重み

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 「……邪魔者も消えたし、ゲームを始める前に自己紹介といこうか。君たちはこれから一蓮托生、互いの事は知っておくべきだと思うんだ」  エル以外、皆気分が優れないようで顔面蒼白だった。  そんな異様な状況の中で、自己紹介は始まることになった。 「じゃあ、そこの黒髪の彼女から」  エルに指名されたのは、あの気の強そうな黒髪の女。 「……牧島。クラスは3組、部活は陸上……やってる」  牧島は不機嫌そうに、不愛想な自己紹介を終えた。 「あ、牧島さんって陸上ですごいんだよね。全国大会常連のエースだってクラスで聞いたことあるよ!」 「……どーも」  真名が必死にフォローしていたが、牧島の態度は変わらなかった。 「じゃあ、次は隣の眼鏡の子」  次は、眼鏡をかけた気の弱そうな女。 「は、はい。赤城……っていいます。部活はやってなくて、図書委員会です。牧島さんみたいに、全然特別な才能とかは無くて……」 「才能って……なにその言い方。あたしの努力も苦労もなにもかも、その一言で片づけるつもり?」  牧島がキッと赤城を睨んだ。  元々不機嫌そうだったが、さらに表情が曇った。 「えっ、ごめん……そんなつもりじゃ」 「それに、そのオドオドした態度。あたしたちこれから死ぬかもしれないんだよ? 足引っ張られても困るんだけど」 「えっ……その、ごめん……なさいっ」     
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