第2話 幸福の重み

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 牧島の言葉は止まらなかった。  その一方的な追い込みに耐えられず、赤城は腹を抑えながらゆっくり膝を地面についた。 「ちょっと、大丈夫赤城さん?!」 「平気……です。昔からお腹弱くて……」  真名が駆け寄るが、すぐに赤城は立ち上がった。  しかし足元はフラフラだ。 「じゃあ、次は最年長の彼女」  エルが真名を指差す。 「最年長……そうだけど……」  真名が少しムッとして全員の方を向く。 「あたしは3年の清水 真名って言います。今は部活引退して、受験勉強に専念してる感じかな。あ、あとそこの……金子 修とは幼馴染で」  真名の目は僕の方を向いた。 「っち……余計なことをベラベラと」  こんな時にまで、イラつく奴だ。 「じゃあ、最後にそこの彼」  エルの指は僕に向けられた。  仕方なく僕は全員の方に向き直す。 「……金子 修」 「……え、終わり?」  エルが驚いたような、動揺したような間抜けな声を上げる。 「っふ……君が現実で何でいじめられてるか、分かった気がする」  エルは僕を嘲笑するかのように吹き出す。  もちろん不快だったが、まさかこいつに盾を突くわけにもいかない。 「まぁいい。これで準備は整ったね。それじゃあ早速1番の牧島さんから始めようか!」     
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