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牧島の叫びを聞き流し、ハサミを閉じるように2本の指を閉じた。
「あっ……」
牧島の両足は鮮血を吹き出しながら宙に舞った。
そして、それはすぐに消えて天秤の上へと移動した。
「ああああああああああああああああああっ! 足っ……あたしのっ……あ」
天秤に牧島の両足が加えられ、牧島の方へ徐々に傾き始める。
「おお、両足含めて15ポイント……かなり稼げたじゃないか! 真栄田君のと合わせて幸福の忘却20ポイント獲得おめでとう」
両足を失っても、たったの15ポイント。真栄田と合わせて20ポイント。
残された僕、真名、赤城の3人で一体どれだけの幸福を失えば、ゲームは終わるのか……僕はとてつもなく不安になり、呟いた。
「……悪魔だ」
「ふん、何とでも言うがいいさ。幸福の忘却のためなら、ボクは鬼にでも悪魔にでもなる」
エルの足元で倒れた牧島は、もはや泣くことすらできずに光の無い目で天井を見つめている。
「まぁ、君たちもこうなりたくないならよーく考えるんだね」
確信した。エルは僕たちを……人間をただ痛めつけ、苦しませたい。
ゲームなんてその手段にしか過ぎない。
「では、次は赤城 愛子。君はどの幸福を忘却する?」
次の獲物を指名したエルの表情は、満面の笑みが浮かべられていた。
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