第1話 忘却の始まり

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 今に見ていろ、卒業して、就職して……その頃には立場は逆転しているはずだ。  今は真栄田が奪う側でも、いずれ僕が奪う側に回るんだ。  その時、下を向いて歩いていた僕の肩に何かが触れる感触があった。  大した勢いでは無かったが、下を向いていた僕は大きくよろけた。 「ご……ごめっ」  先ほどの事もあってか、反射的に謝罪の言葉を口走っていた。 「……修ちゃん?! どうしたのボロボロで……」  その声は予想に反し、僕の身を案ずるものだった。  胸倉を掴まれるか、もしくはその場で殴られるかと考えた僕はすぐに顔を上げた。 「……っち、お前か、ビビらせやがって」  目の前には見覚えのある女子生徒が心配そうな表情で立っていた。 「うぜぇな……3年が何でここにいるんだよ」 「生徒会長として見回り。それよりどうしたの制服もボロボロで……顔から血も出てる」  真名は心配そうに僕の傷口を覗き込む。  清水 真名。隣の家に住んでる1個上の幼馴染。容姿端麗、成績優秀でおまけに性格まで良いときてる。この世界を彩り、皆にとっての幸福。  この学校で、真名を慕う人間はいても嫌う人間はいないと言われるほどだ。
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