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今に見ていろ、卒業して、就職して……その頃には立場は逆転しているはずだ。
今は真栄田が奪う側でも、いずれ僕が奪う側に回るんだ。
その時、下を向いて歩いていた僕の肩に何かが触れる感触があった。
大した勢いでは無かったが、下を向いていた僕は大きくよろけた。
「ご……ごめっ」
先ほどの事もあってか、反射的に謝罪の言葉を口走っていた。
「……修ちゃん?! どうしたのボロボロで……」
その声は予想に反し、僕の身を案ずるものだった。
胸倉を掴まれるか、もしくはその場で殴られるかと考えた僕はすぐに顔を上げた。
「……っち、お前か、ビビらせやがって」
目の前には見覚えのある女子生徒が心配そうな表情で立っていた。
「うぜぇな……3年が何でここにいるんだよ」
「生徒会長として見回り。それよりどうしたの制服もボロボロで……顔から血も出てる」
真名は心配そうに僕の傷口を覗き込む。
清水 真名。隣の家に住んでる1個上の幼馴染。容姿端麗、成績優秀でおまけに性格まで良いときてる。この世界を彩り、皆にとっての幸福。
この学校で、真名を慕う人間はいても嫌う人間はいないと言われるほどだ。
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