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「またクラスの人にいじめられたの? いい加減誰にやられたのかあたしに言って? あたしがちゃんと注意するから」
「……他人の癖に、僕に構うな」
その言葉に真名の表情は曇った。しかし、すぐに明るい表情を取り戻し、スクールバッグから風呂敷に包まれた弁当箱を取り出した。
「お弁当また盗られたの? あたしまだ食べてないからこれ良かったら……」
僕に同情してやがるのか。幼馴染だとか都合の良いこと言って、優しい自分に酔っているに決まってる。
皆から必要とされ、認められてる幸福の塊のお前に僕の何が分かる。
「いらねぇよブス!」
「きゃっ……」
僕は差し出された弁当を振り払い。廊下に散らばった残骸を踏み潰した。
「僕は……僕はいじめられてなんかない! 相手にしてやってるんだ。今日もあの頭の悪いDQNに絡まれたからさ? 喧嘩してやったんだ」
真名は一瞬、茫然としていたがすぐに明るい表情を取り戻して言った。
「……修ちゃん、お腹空いたら3年の教室まで来てね。まだ、菓子パンとかもあるから」
僕は苛立ちを覚えながら真名を置いてその場を去った。
教室に戻ると、真栄田と取り巻き数人が僕の席を囲んでいた。
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