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「おー戻ってきた金子クン。ゴミはゴミ箱にって習わなかったの? 整理整頓くらいちゃんとしようぜ」
「……」
僕の席の上には、ゴミ箱の中のゴミがぶちまけられていた。
何のゴミかは分からないが、腐ったような臭いも漂ってきた。
「うわくっさ」
「元々でしょ」
「ほんとクラスから消えてくんね―かな」
教室の隅々から、ヒソヒソと声が聞こえてくる。
「あとさ、生徒会長が可哀想だから関わんなって。あの人はお前とは違って、みんなにとっての幸福なワケ。みんなにとっての不幸のお前とは違うのよ」
真栄田が僕の肩に手を回してくる。
僕はその手を振り払い、机と椅子を思い切り蹴り飛ばし、そのまま授業が始まる前に無断で早退した。
まだ下校には明らかに早い時間帯だったが、僕は構わず自宅の玄関を開ける。この時間、母親はパート、父親は何年か前に事故死したので僕1人の空間だ。
部屋に入るなり、僕は持っていたスクールバッグをベッドに投げつけた。
「僕は……僕は弱くない……ただ構ってやってるだけ」
部屋の真ん中に突っ立て、呪文のように唱える。
「その気になればあんな連中、簡単に……」
あんな馬鹿共、卒業すれば会うことも無い。今のうちに良い気にさせておけばいいんだ。
今は奪われる側でいてやる。けど、僕は本来奪う側の人間なんだ。
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