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「あんな馬鹿共、相手にする価値もないが……いつかあいつらから幸福を奪ってやりたい」
これが最近に僕の日課だった。幸福そうな、裕福そうなクラスメイトの顔を思い浮かべ、そいつらから金でも命でも良い、幸福を僕が奪い取ることを想像する。
今は僕が奪われる側だが、いつか……学校の連中から全てを奪ってやりたい。
そんなことをボーっと考えていると、無性に気持ちが落ち着く。
そう思いながら天井を見つめていたその時、どこからか声が聞こえた気がした。
耳を澄ませて聞いてみると、その声は徐々に僕に近づいてきていた。
『幸福、か』
「だ、誰だ」
思わず身構えた。テレビか?
『君は自分が不幸だと思ってる?』
声は若干幼い印象だが、聞き取りやすい澄んだ声だった。
「……ああ」
『いじめられているから?』
「違う! 僕は、僕は!」
いじめ、という言葉に過剰に反応してしまった。
『ああ、構ってやってるんだったね。けど、どうして?』
まるで嘲笑したような声に僕は苛立った。こいつ、なんで僕の事を知っている?
「世の中には馬鹿が多すぎる、それが不幸だ」
『っぷ、はははは!』
「何がおかしい!」
こいつ、俺をからかっているのか。新手の悪戯か?
『いや、何でもないよ……っく。でもね、ボクから見たら君もその馬鹿の一員さ』
「なに」
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