第2話 幸福の重み

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第2話 幸福の重み

 突然突き付けられた現実に、僕たちは茫然としていた。 「君たち4人に集まってもらったのは他でもない、人類の代表としてゲームに参加してもらうことだ。ゲームと言っても単純明快、猿でも分かる程度のルールだ。自分の幸福を、忘却してもらう」  天使……エルは事細かにゲームのルールについて解説を始めた。 「君たちにとっての幸福、それは様々な形だ。家族、友人、お金、才能……幸福は無限大だ。それを、君たちには順番に放棄し、忘却していってもらいたい。簡単に言えば、自分の幸せを天使側に売る。」  エルが指をパチンと鳴らす。  その瞬間、轟音と共に巨大な影がエルの背後に現れた。  目を凝らしみると、それは僕たちの身長の倍近くはあるだろう光り輝く黄金の天秤だった。これで幸福量を測定するのだろう。 「ルール1、ここにいる4人で順番に既定の量の幸福を忘却してもらう。既定量の100ポイントを超えればその時点でゲームクリア。けれど、100ポイントに達するまで何週でもゲームは続く」  協力と言ったのはこういう意味か。皆が協力して多くの幸福を忘却すれば、1周でゲームクリアの可能性も十分あり得る。     
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