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午後8時いつもようにネットゲームに精を出す。
「優太に話したいことがあるから今日の夕ご飯、テーブルで食べてね」
母さんのただならぬ気配に
この時が来てしまったのか。
俺は絶望を胸に頷く。
ニート歴2年ついに三行半を突き付けられる時が来てしまったのか。
今のうちに身辺整理をしておこう……
執行前の囚人はような気持ちで部屋を出て夕ご飯に臨んだ。
今日は珍しく父、母、姉と家族全員が食卓を囲んでいた。
真ん中にはおいしそうに煮えたすき焼が。
俺は数年ぶりに恐る恐る自分の席に座った。
父は中堅企業の管理職
母はパートの看護師
姉はwebデザイナー
俺はネットゲーム
で忙しく思えば家族で食卓を囲むなんて何年ぶりだろう。
「優太、お前に話がある。」
「母さんの同僚からから犬を預かった。明日からお前も飼い主だ。」
「まぁ、いろいろあってうちで引き取ることになったの。もちろん私もお父さん、お姉ちゃんも面倒見るけど仕事のときはお願いね。」
まぁ、いろいろってなんだよ、いろいろって!!
みんな仕事で大体、家にいないじゃないか。
と思ったが両親からは有無を言わせない無言の圧力が漂っていた。
こ、これはNOと言おうものなら確実に追い出される
「ニートだし、毎日暇でしょ。適役じゃない。頑張りなさい。」
姉のダメ押しに俺は陥落するほかなかった。
「わ、わかったよ。頑張ばる……」
俺の一言にそれまで張りつめいた空気が一気に和やかになった。
「良かったわ。優太ならそう言ってくれるって信じてたいわ。煮えすぎるとお肉が固くなっちゃうわ。食べましょう」
母さんが俺の取り皿に肉を入れる。
明日から俺、どうなるんだろう
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