本番前日

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明日は待ちに待ったバレンタインデーです。 私の通う高校も、住む街も、テレビの中の人達もどこかソワソワして見えます。 そんな私もソワソワしています。 私は今年こそ小さい時から大好きだったお隣のお兄ちゃんのアツシ君に告白をしたいと思います。 1ヶ月前からのシュミレーションはカンペキです。 後は、試行錯誤を重ねたこの生チョコを綺麗に包んで本番を待つのみ!と思っていましたが、なんと、練習を重ねすぎてしまいラッピングの袋を切らしてしまっていました。 私は慌てて近くのお店まで買いに行きました。 そこで、奇跡が起こったのです。 私が袋を見ていると誰かに声を掛けられました。私はあまりにも真剣に選んでいたので最初は誰に声を掛けられたのか分かりませんでした。 顔を上げるとなんと、そこには憧れの大好きなお兄ちゃんアツシ君が居ました。 私は顔が一気に赤くなるのが分かりました。それと同時に見られてしまったという思いで顔が真っ青になっていったのです。 お兄ちゃんは私の居るコーナーで察したのか「ふーん」とだけ言ってその場を去ろうとしました。 「お兄ちゃん待って!!!」 その時自分でも驚くほど大きい声が出てしまいました。恥ずかしかったです。 でも、お兄ちゃんは私の続く言葉を待ってくれているようです。 シュミレーションにはなかった事ですが、女は度胸です。 「明日、お時間ありますか?……私のチョコレート貰ってくれますか?」 お兄ちゃんは驚いて眼を見開きそしてすぐに微笑んでくれました。 「俺で良かったら喜んで」 その時のお兄ちゃんの頬がほんのりピンクに染まっていたように見えました。 私、期待しちゃってもいいですか? 明日は待ちに待ったバレンタインデーです。 では、おやすみなさい。
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