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賀陽の部屋は、2階とはいえ下がコンクリート舗装。そのまま飛び降りると足を挫く危険がある。
そこで、1階ベランダの手すりでワンクッション置いてから、アスファルト道路に飛び降りて駆けだした。
豪臥たちはコンクリートに直接飛び降りたので、中の一人が足を挫いて倒れた。
年寄りの自転車とぶつかりそうになった賀陽は、ヒラリと身を翻して避けた。後方で、一人がぶつかってまた脱落した。
あとは豪臥だけだが、執拗に追ってくる。
路地を逃げ回り、小さな鳥居と祠しかない稲荷神社を通り抜けて裏に回った。
竹垣を飛び越えてしばらく走ると、豪臥の姿が消えたので足を止めた。
「フー、なんとか撒いたか……」
撒いたはいいが、部屋に戻りたくない。
賀陽は、野宿を覚悟した。
まだまだ冷え込む冬の夜。ジッとしていると身が凍える。
暖まるためにブラブラと歩き出したところで、暗がりからパンチが飛び出てきて顔面を強打された。
体が吹っ飛ばされて道端に投げ出された。
「ようやく、追いついたぞ」
豪臥が、ハアハアと息を荒げながら勢いづけて襲ってきた。
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