第一章 催眠術探偵登場

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「ずっと、引きこもっていたからですか?」 「……そうです。分かりますか?」  待子は、10年前の事件によって記憶障害を起こし、常に何かに怯えて家から一歩も出られなくなった。  その状態が何年も続き、通信制の高校を経て、ようやく社会復帰を目指してこのカフェでバイトを始めたところだった。  そのことをバイト先では知られないように振舞っているつもりだったが、初見の客にも見破られてしまうのかと落ち込んだ。  ずっと本ばかり読んでいたのも、他にすることがなかったから。  幸いなことに、読書のお蔭で知識は人一倍身についている。  ただ、実践が伴っていないだけ。
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