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賀陽は、叫ばずにいられなかった。
「うわあ!!! 僕のプリン!」
グチャグチャになったプリンの一部が床に零れ落ちる。
もう、食べられない。
最後の1個だったプリン。
次に、いつ手に入るか分からない幻のプリン。
賀陽は、ブチ切れた。
怒りがこみ上げて、殴りたい衝動を抑えきれなくなった。
「お前! やりやがったな! この前のこともあるからな! ここで僕に殴られても、文句は言えないよな!」
「うるせえ! プリンごときでガタガタ言うな!」
「プリンごときだと!」
豪臥は、怒りに任せて向かってくる賀陽に向かってプリンの残骸を投げつけた。
ビチャっと音を立てて顔にヒット。
飛び散ったプリンが全身に被う。
賀陽が一瞬ひるんだ隙に、豪臥は外へと逃げていった。
「待て!」
後を追おうとしたが、自分がバスタオル一枚だったことを思い出し
た。
そして、プリンまみれ。
「あー、もう!」
しばらく躊躇したが、結局、追うのを諦めた。
楽しみにしていたプリンを食べ損ない、せっかくシャワーを浴びたのに無駄になり。
「プリンちゃん……」
甘い香りだけが、落ち込む賀陽を優しく包みこんだ。
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