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しばらく動かなかった賀陽だが、いつまでもこうしていられないと思い直した。
「凹んでいても何にも解決しない。プリンは次回の入荷日を店長に聞くことにして、まずは、この汚れた体だ……」
ヨロヨロと立ち上がると、シャワーを浴び直した。
それから、汚れた部屋を掃除する。
すると、あちこちにいじられた形跡があった。
「僕がシャワーを浴びている間に、何かを探したようだな。しかし、何も見つけられなかっただろう。当然だ。記録媒体は、僕自身なんだから」
賀陽は、調査記録をどこにも残していない。
全ての内容は、自分の頭の中だけに保存している。
脳は、一度見聞きしたものを決して忘れはしない。全て記憶として残っている。
賀陽は、特殊な方法でそれらを引き出すことができる。
他人には退行催眠で。己の記憶は、自己催眠で。
ソファに座ると、賀陽は自己催眠を掛けた。
頭の中にある、今まで集めた徳守豪臥の情報が鮮やかに浮かび上がる。
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