第一章 催眠術探偵登場

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「私は、誰かと会うことが滅多になく、最近お会いしていれば、必ず覚えていると思います」 「安心してください。君と僕が顔を合わせるのは、今日が初めてですよ」  その言い方は、まるで、小さな子どもに言い聞かせるようだ。 「待子さんは、子どもの頃、『まーちん』と呼ばれていませんでしたか?」 「そうです! なんで、分かるんですか?」  待子は、往子をはじめ、仲の良い友達から『まーちん』と、呼ばれていた。  あの日から、呼ばれることはなくなったけど。 「すごいですね。そこまで私のことが分かるなんて。どうやって、分かったんですか? いえ、それとも、私のことを調べたんですか?」  やや警戒感を持ち出した待子は、鎌をかけてみた。 「ネタバレしてしまうと、すでに知っていました」  賀陽があっさりと白状した。 「誰から聞いたんですか?」  ショックを受けている待子に、賀陽は説明した。 「人の口に戸は立てられぬ、ってことです」  おそらく、近所の人から聞いたのだろう。  待子は、ゾッとした。  怖いと、思ったから、賀陽から数歩離れた。 「なんで……、なんで、私のことを調べているんですか?」
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