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「あなたが? どうやって?」
「僕は、探偵だけれど催眠術師でもある。催眠術を使って、過去の情報を取り出すことができる。やってみましょうか」
賀陽は、なぜかネクタイを外した。
「どうして、ネクタイを……?」
「さあ、これをよく見てください」
賀陽がネクタイの両サイドを掴んで勢いよく引っ張り、ピン! と、音がした瞬間、縄跳びに変わった。
「ワ!」
待子は驚いた。
「これが、何に見えますか?」
「縄跳びです……」
そんなはずないのに、待子の目には往子がいつも遊んでいた縄跳びに見えた。
「そうです。この縄跳びに、見覚えがありませんか?」
「あります。ゆきちゃんが使っていた縄跳びに似ています。名前まで書かれています」
グリップには、『さらしな ゆきこ』と、マジックで名前が書かれている。
「では、次に僕の手元をよく見ていてください」
賀陽は、二つ折りにしたロープをグルグルと待子の目前で回した。
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