プロローグ

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『まーちーん! そろそろ、違う遊びにしようよー!』 『もうちょっとー! 縄跳び、続けるー!』  小学校が臨時休校となった日、待子と往子(ゆきこ)は公園で元気よく縄跳びをしていた。  いつまでも縄跳びの練習をやめようとしない赤いスカートの待子。  対照的に、飽きて他のことをしたいピンクのジャンパースカートの往子。 『ブランコにしようよ!』 『もう少ししたらー!』  縄跳びをやめない待子を、往子がうんざりした顏で眺めた。  待子は背筋を伸ばし、タイミングを合わせて前飛びする。  母に買ってもらった新しい縄跳びは、グリップを軽く動かすだけでロープがグルグルと勢いよく回転する。  それが嬉しくて何度もトライする。  時折視界に入ってくる往子は、落ち着きなくキョロキョロと周囲を見回している。
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