第一章 催眠術探偵登場

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「俺は、君を守りたい。恋人なら、堂々といつでもそばにいられる。あの探偵に、牽制することもできる」 「いつも一緒は無理じゃないですか? 大学だってあるし、バイトだってあるでしょ?」  豪臥は、大学生だ。バイトもしているとの話だった。 「そんなものは、どうにでもなる。待子ちゃんの一大事だ。授業なんて受けていられないよ」 「そんなこと……」  自分のために授業やバイトをさぼられては、待子が困ってしまう。 「待子ちゃん、今すぐ返事を聞かせて欲しい」 「ごめんなさい」  待子が即座に断ったので、豪臥はショックを受けた。 「え! ダメなの!?」  断られるとは思っていなかったようで、ショックを受けたすぐあとで、怒りで顔を真っ赤にさせた。  待子はその様子を見て暴れるのではないかと怖くなったが、豪臥はかろうじて理性を保った。 「ごめんなさい。突然言われても、全然考えていなかったから……」  待子の言い訳に、豪臥が飛びついた。 「じゃあ、まだ可能性はあるってことだよね?」 「それは……、何とも言えません……」  歯切れの悪いセリフしか出てこない待子に対して、豪臥はもう一押しすればいけるんじゃないかと考えた。 「ああ、いいよ。いいよ。今、決めなくても、じっくり考えてくれれば。あの探偵から君を守ることはするから、安心して」 「ありがとう……」  待子は、待ってくれるという豪臥をいい人だと思った。
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