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「俺は、君を守りたい。恋人なら、堂々といつでもそばにいられる。あの探偵に、牽制することもできる」
「いつも一緒は無理じゃないですか? 大学だってあるし、バイトだってあるでしょ?」
豪臥は、大学生だ。バイトもしているとの話だった。
「そんなものは、どうにでもなる。待子ちゃんの一大事だ。授業なんて受けていられないよ」
「そんなこと……」
自分のために授業やバイトをさぼられては、待子が困ってしまう。
「待子ちゃん、今すぐ返事を聞かせて欲しい」
「ごめんなさい」
待子が即座に断ったので、豪臥はショックを受けた。
「え! ダメなの!?」
断られるとは思っていなかったようで、ショックを受けたすぐあとで、怒りで顔を真っ赤にさせた。
待子はその様子を見て暴れるのではないかと怖くなったが、豪臥はかろうじて理性を保った。
「ごめんなさい。突然言われても、全然考えていなかったから……」
待子の言い訳に、豪臥が飛びついた。
「じゃあ、まだ可能性はあるってことだよね?」
「それは……、何とも言えません……」
歯切れの悪いセリフしか出てこない待子に対して、豪臥はもう一押しすればいけるんじゃないかと考えた。
「ああ、いいよ。いいよ。今、決めなくても、じっくり考えてくれれば。あの探偵から君を守ることはするから、安心して」
「ありがとう……」
待子は、待ってくれるという豪臥をいい人だと思った。
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