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首には、ピンクの縄跳びが何重にも巻かれている。
往子がさっきまで使っていたものだ。
目も、口も、体も。ピクリとも動かない。
それでも、自分を驚かそうとしているのだと待子は希望を持った。
恐る恐る近づいて、顔を見た。
『ゆきちゃん……』
呼びかけに反応がない。
待子の手から縄跳びが滑り落ち、パサリと枯葉の乾いた音がどこか遠くでしたように聞こえた。
内またを、生温かい液体が流れ落ちるのを感じた。
ガサッ。
待子の後ろで、誰かが枯葉を踏みしめた。
恐怖で、振り向くことができない。
――そこで、待子の記憶は途切れた。
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