第一章 催眠術探偵登場

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 待子は、本が友達というほど、本好きだ。  だから、本だらけのこのカフェを見つけたときとても感激し、バイト募集もしていなかったのにオーナーに頼みこんで雇って貰ったほど。  実際に働いてみると、理想通りの職場だった。  古い本の匂いと、コーヒーの香りに囲まれて。  パラリと紙をめくる音と、コーヒーをすする音だけしか聴こえてこない素敵なカフェ。  その魅力が分かる、本好きの仲間なら大歓迎。 「そうです。ここは、図書室をイメージしたブック・カフェです。置いてある本は、ご自由に読んでもらって結構ですよ」 「それは、大丈夫です。本が目的ではないので」  本に興味があるのかと思いきや、そうでもなかったようであっさりと断ってきた。少し、ガッカリした。 「では、ここに来た目的は、……パフェですか?」  賀陽の前にあったスペシャルビッグパフェは、綺麗に食べ終わっている。 「ああ、ハハハ……。頭を使うと、脳が甘いものを求めてしまうんです。お代わり、もらえますか?」  賀陽は照れ笑いをしたが、すぐに次を求めた。 「かしこまりました」  通常より2倍は大きいサイズなのに、まだ食べるのかと驚く。  待子は、新しくスペシャルビッグパフェを作って出した。  賀陽は、それを嬉しそうに食べだした。  そして、あっさりと食べ終わった。よほど、甘いものが好きなのだろう。
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