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「おはよう」
凜太郎が抱えているチョコの山。
「あんたチョコくれた子のなかに好きな子いる?」
「いや、いないけど」
渚が聞いてくれた。凜太郎はさっきの女子のなかには好きな子はいないらしい。ドンマイ、クラスの女子たち。
「てか、みんな義理チョコだろ?」
「「え!」」
凜太郎がそんなに鈍感だとは思っていなかった。なんか可哀想に思えてきた、クラスの女子たち。
「なんだよ?二人揃って」
「はぁ~、まぁいいや。じゃあ私は席にいくね。」
渚はため息をつき、私の肩を軽く叩いた。渚がこうするときは、頑張ってということだ。
「凜太郎。」
「ん?」
チョコをカバンにしまおうとしている凜太郎。
「今日の放課後、三階の隅の空き教室に来てよ。話したいことがあるの。」
凜太郎の動きが止まった。ぐるんとこちらを振り向く。少し顔が赤い気がする。
「え?あの、それって……」
「そういうことだから。来てね!」
私は動揺している凜太郎を前に向かせた。
ちゃんと伝えられた。あとは放課後、空き教室でチョコを渡して告白するだけだ。
私は緊張をほぐそうと深呼吸をした。
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「へぇ、告白ですか。……でも風間くんはワタシのものです。貴女になんか、わたしません。」
会話を盗み聞きしていた。やはり葉山は風間に告白をするらしい。阻止しなければ。
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