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「愛…」
凜太郎は私の登場に驚いていた。
「葉山さん…どうしたの?」
立花は涼しい顔で私を見つめる。
「さっきから聞いてたけど、何言ってるの?私は貴女の応援なんかしてないよ。」
凜太郎に勘違いされたままなのは嫌だ。私は凜太郎が好きだから。
「……酷いよ。なんでそんなこと言うの!私、葉山さんが協力してくれるっていってくれたとき嬉しかったのに!」
泣く演技をした立花は凜太郎に抱きついた。おろおろする凜太郎。胸の中にどろどろした感情が芽生える。最悪だ。
私はただ、凜太郎に告白しようとしただけ。
「愛、本当なのか?」
立花に抱きつかれながら、凜太郎は私にそう言った。凜太郎は私を信じてはくれないらしい。
「違うよ……私は」
「嘘つかないでよ!酷いよ葉山さん!」
立花はさらに凜太郎に抱きつく力を強めた。……酷いよって言いたいのはこっちだ。
あぁ、もう見ていられない。
私はチョコを床に投げ捨て、空き教室から飛び出した。
後ろから私を呼び止める声が聞こえたけど、私は立ち止まらなかった。
涙が少し溢れた。
立花なんか、凜太郎なんか、バレンタインなんか、大嫌いだ。
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