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「それはびっくり。まさか覚えてないって思ってた? そんなわけないでしょ。あんなことあったのに。そもそも、大嫌いな奴を忘れるなんてありえないと思うよ」
ガラスのハートよ。耐えろ。
「いや、だって、隣の席に座った時、お前……『初めまして』って……」
「ああ、それわざと。どんな顔するかなって思って」
「告白の時もそうだけど、お前、性格悪いな」
「そんなの、分かりきってるよ」
直そうと思わないところがすごい。いや、性格なんて直そうと思っても直らないんだな。
「んじゃあ、あともう1つ。……なんで嫌いな奴にキスなんてしたんだ?」
そう言うと、赤月は俺の表情を盗み見るようにじっとし、その後にゆっくりと口を開く。
「『あのキスの意味は何?』って聞かない分、ほんと意地悪だよね、藤咲は」
お前に言われたくない。というか、俺の根本的な質問はそこじゃない。
「まあ、答えとしては。嫌いな奴にキスをしたらどんな反応するのかな、と」
「性格悪!」
ポテト入れの箱を顔に叩きつける。
「そもそも、男にするもんじゃねえだろ!! あの女子が嫌だってんなら、キスするより言葉で言え!!」
「そう言っても、女って蛇のごとく追いかけてきて、縋り寄ってくる。そんなことになるんなら、追いかけられなくなるような理由を作っておいたほうがいい。嘘でも本当でもな」
「だからってなんで俺!?」
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