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俺たちは後ろの席で話していたが、教卓の前の方で女子達と楽しく会話しているのは学年一のマドンナと言われる、小鳥遊円香がいた。学校の全ての男子が小鳥遊が通るたびに振り向くほどの人気っぷりだ。かくいう俺もその中の1人ではある。
「静。これはチャンスだと思わないか」
「はっ、怜には小鳥遊は釣り合わねえって」
1年の頃は同じクラスではなかったから会話はなかったとしても、同じクラスになったのならいくらでもチャンスはある。謎の火花を2人で撒き散らしている間にも生徒はクラスに集まり、席が埋まっていく。しばらく経つと予鈴が鳴り、静も席に着く。俺は後ろの席の廊下側なのに対し、静は対角線上の反対側。一番前の窓際だった。俺の隣には転校生が来るのだろう。席が空いていた。そしてなんと。静の右側の席はあのマドンナ、小鳥遊が座っていた。静が厭らしく、俺の方へ目を向け、してやったり顏で笑むと、ウインクしてきた。ムカつく。ウインクできるのもムカつく。
しばらくして担任の荒川先生が教室に入ってきて、騒々しい教室が静かになる。
そして、ありがちな挨拶と説明を一通りすると、言葉を一旦切り、改めて発言する。
「もう気づいている奴もいるだろうが、藤咲の隣の席が空いているだろう。つまりだ。転校生がこのクラスにやってくる。皆、仲良くするようにな。よし、紹介をしよう。入ってきて良いぞ」
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