6人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の隣の席だ。これで女子で、尚且つ可愛い子だったら有頂天になるんだが……。
前の扉から生徒が入ってくる。
俺の浅はかな希望は早くも崩れ去り、男子生徒だということがわかった。
その生徒は初対面の俺たちに臆することなく、背筋を伸ばして凛とした雰囲気を纏わせながら教卓の前に進み、クラスメイトに向き直る。
その顔を見た瞬間、何か既視感を感じる。いや--、まさかな……。
「赤月唯十です。まだ何もわかりませんが、色々と教えてくれるとありがたいです。よろしくお願いします」
その名前を聞いた時、頬杖をついていた肘がガクッと体勢を崩し、その勢いのまま顔を机に突っ伏す。
歓迎の拍手を浴びた後、先生が俺の隣に座るように促す。
机に突っ伏したまま、そいつが俺の隣を通り、席に着くのを感じる。
そして俺の机に手がかかり。
「初めまして。よろしくね」
「お、おう」
慌てて顔を上げてそいつを見る。綺麗な瞳に端正な顔立ち。昔と変わってない。
俺は懐かしさどころか……。ムカついた。
最初のコメントを投稿しよう!