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Q.昔の友は昔の友か
隣の転校生は周りに集まって来た女子たちに取り囲まれ、笑顔で対応している。
そのルックス、性格も相まって、女子には人気だった。既に隣のクラスからも噂を嗅ぎつけてこちらの様子を伺う生徒もいる。
昼休み、そんな人混みの間を縫って、転校生から逃げるように、静の席へ向かう。持ってきた弁当を机に置き、誰の席かは分からないが、空いていた椅子を借りて弁当を広げる。
「転校生、すげえ人気だな。あんなルックスじゃアイドルもんだろ。このクラス大丈夫か。レベル高くね?」
静は相変わらずの行儀悪さで、箸を俺に向けてくる。俺じゃなくて赤月に向けろよ、と言いたいところだが、それをグッと堪える。
「つかお前、隣の席なんだから話しかけたりしろよ。かっこいいやつと友達になると可愛い女の子が付いてくるぞ」
「それもそうなんだがな……」
別に隠すつもりもないから言うか……。俺は静に小声で話し始める。
「俺、あいつと幼馴染なんだよ。赤月唯十。間違いない。小中学校同じでよ。小学校の頃にあいつに直接言われたんだよ。お前のことは嫌いだって」
静は驚いたように俺と赤月を交互に見る。
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