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俺はずっと聞きたいことがある。なぜ、俺のことが嫌いなのか。そう言い放った後にでも言ってくれれば改善はできた。しかし、聞こうとしても俺から逃げるようにすり抜けていく。聞こうにも聞けずにここまで来た。そして、今、こうして会えた。
今まで会えなかった分、言いたいことも聞きたいことも頭の中で浮遊する。
昼食を摂り終わり、静と別の話題で盛り上がって、昼休みを過ごす。
結局、話すにも何から言えばいいのかも分からず、空回りし、放課後になってしまった。
「俺のこと覚えているか?」なんて、覚えてなかったら俺のガラスのハートが粉々に砕かれるし、覚えていたとしても、だ。「嫌いだって言ったよね」だとか辛辣な言葉を浴びせられる可能性がある。
ここは……、無難に授業の話とかでいいか。そうだ。転校生はまだ分からない授業があったり、逆にもう習っている授業だったりするはずだ。それを聞こう。
そう決心し、俺は隣へ顔を向ける。
すると、偶然にも目が合った。
今まで一度も目を合わせてなかった幼馴染と、今、目が合った。
突然のことに開きかけた口を閉じてしまい、言葉が出ない。すると、意外にも向こうから話しかけて来た。
「えっと。藤咲くん、だよね。あのさ。お願いがあるんだけど……」
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