Q.昔の友は昔の友か

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なんてことはない。もう早速、こいつはラブレターをもらってしまったようだ。ただ、待合場所がわからない。そして、どう対処すればいいのか分からないから、と、隣にいた俺に助け舟を求めた。 「まさか早々にラブレターとか……そいつすげえな」 「うん。ちょっとびっくりしたよ」 「でもまあ、わかるかもな」 そんなルックスじゃ。 「しかも、ちゃんとそれに応えようとするお前もすげえよ」 「そう? 貰ったものは返さなきゃ」 ……ん? なんか自然に会話できてる? まあでも、こいつは俺の名前を知ってても覚えてないようだけどな。……じゃあこの際、これから仲良くなろう。うん。 ラブレターに書いてあったのはオーソドックスな体育館裏で待ち合わせということだ。そこに着くまで他愛のない話を続ける。なるべく過去の話にしないように気をつけていた。 体育館裏に着くと、既に女の子が待っていた。 クラスメイトの、明るく活発な女の子だ。サラサラで長い髪。淡く茶色に染めている。手持ち無沙汰なようで、その髪を人差し指でくるくると弄っていた。教室内では友達とバカやって騒ぐようなキャラだが、告白の場だからなのか、しおらしく見える。 目的地に着いたから、もう俺は用はないと思い、赤月の肩を軽く叩き、その場を離れようとする。 しかし、その手を掴まれ、半ば強引に、その女の子の前に連れて行かれる。 「ちょ、な、なんで俺まで!?」 女の子も突然の招かれざる俺を見て、怪訝そうな表情をする。 「ちょっと。藤咲くんは呼んでないんだけど」 「あ、そりゃあそうなんだけど、ただ、ほら、こいつ、転校生だから体育館裏がわからないって言って案内しただけで--」 「手紙見たの!?」 目の前の女の子は怒りなのか恥らしさなのか、顔を真っ赤にさせて俺にキツく当たる。 「ねえ、藤咲くん、なんで!? 私、こんなの望んでない!」 「俺、別に君から『ラブレターを他の人に見せないで』って言われてないし。そもそもあの大勢の中で渡されちゃ、そんなの気にしない奴だと認識されてもおかしくないだろ」 「--っ!」 女の子は図星なのか言い返せずにいた。 というか……、今まで爽やか青年だったお前はどこ行った。 俺も女の子も目の前の、冷たい目をし、冷たい声を発する人物に釘付けになっていた。
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