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「……っ! 何よ!! こっちは楽しみに待ってたのに変な奴は来るし、赤月くんには散々に言われるし!!」
俺も今まさに散々に言われてる気がするんだが。
「ああ、あと。好きな人いないって誰が言った?」
赤月のその一言で、俺と女の子は思考停止した。
「は? それってどういう意味? いるって言いたいの? 今日転校して来て好きな人って……いるわけないでしょ」
俺もそう思い、数度頷く。
「その、今日転校して来たばかりの人にラブレターを渡した人から言われたくないけど。でも、転校して来たからって全員が初対面じゃないんだよな」
……ん?
「どういうこと?」
「俺が好きな奴は、こいつ」
その発言と同時に、俺の腕が赤月の手によって挙げられた。ボクシング試合で勝った選手のように。ベルトも拍手もないけど。
……って、え?
「え、何言ってるの。そいつ男よ」
赤月に冷ややかな目線で見られていた女の子が、冷ややかに赤月を見つめる。
俺も冷ややかに見つめる。
「疑ってるようだな。じゃあ、証明してやる」
いきなり腕を思い切り引っ張られ、口が塞がれる。
目の前には綺麗で長い睫毛。目が合う。唇には柔らかく生暖かい感触。顔が。近い……?
「……っ!?」
「ええええええええ!?」
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