チョコレート売りの少女

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「チョコレート、チョコレートはいりませんか」  バレンタインの人が行き交う駅前で久方ぶりに着る用意された高校の制服みたいな物を着て、私はチョコレートを売る。だが……  ダメだ……全く買ってくれない。  かれこれ3時間ほど経っているが、今のところ両の指で数えられるくらいしか売れていない。それもそのはず、だって今売っているチョコレートは普通にコンビニでも買える市販品のチョコレートで値段も200円とふんだくってる。これが手作りチョコレートならもう少し程、売れて籠の中のチョコレートが軽くなったのに……  買ってくれるのは高校生だと思い込んで買ってくれるモテなそうな男性や私を憐れんで買ってくれる心優しい人だけ。  はぁ……疲れたな……ミニスカートだと寒いし、それに都内の最低賃金だからなぁ~やる気が湧いてこない。このバイト応募するんじゃなかった。何でこうもカップルが歩いている中、憐れみを受けてチョコレートを売らないといけないのよ……
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