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俺も詳しい大きさを把握していなかったが、直径が二キロにもなっていたらしい。俺の感覚では半径五百メートルあたりであった。もしかしたら、報道では、木が倒れているだけの部分も測定しているのかもしれない。俺は、泥人形の大元になった部分だけを測定していた。
「村の圧縮は、直径五百メートルでも大規模だよ」
それは、飲み込まれた、生きた人間の数が異なっている。俺は、自分で撮影した画像を、テレビ画面に繋いで流してみた。
「これが、消失前の樹海です」
俺の横には、モモコが走っていた・
「この犬は?」
「モモコです。俺と契約している×です」
すると、工藤室長はモモコを凝視していた。モモコは悪魔のような姿をしているが、俺を守ってくれている。俺を喰い殺そうとしているかのようしか見えないモモコだが、これは必死になっているだけだ。本当は、嬲り殺しの性癖を抜かすと、モモコは優しい。
「モモコは……」
見た目は怖いが、今回モモコは、俺を飛ばさないように掴み、物が当たらないように盾になっている。本当に優秀な犬なのだ。
「……可愛い犬だね」
モモコを可愛いと言うのは、かなりの強者だろう。でも、モモコは喜ぶだろうから、今度、工藤室長の家に連れて来よう。
「これ、ここに研究員らしき人がいるのですが、多分四人は、巻き込まれています」
研究員の数は五人で、小さい一人以外は、消失後に見ていない。
「この器材は、見覚えがある。これは、ウチの研究所ではないよ。ライバル会社だ」
器材に見覚えがあるが、それは、予算の都合で購入できなかったかららしい。どこか購入しているのかと、営業に聞くと、ライバル会社は購入しましたと、プレッシャーを掛けられたという。
そして、映像は逃げるシーンが続き、モモコと風を避けるシーンが続く。
「モモコ、頑張るね。これは、かなりいい犬だね」
そこを観察しなくてもいい。でも、モモコを褒められると、俺も嬉しい。
そして消失後に、俺が木に登って見た景色も残っていた。
生き残っているのは、小さい人影と、赤ん坊のように泣く物体であった。
「泥人形の大元というのか、核は、進化した形で、相手に渡ったということだね」
器材は失われているので、研究結果は残せなかっただろう。
「そうですね、でも、俺達にはデータが残りました」
「この画像は、データとしては不十分だよ」
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