第二十二章 生きている森 二

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 谷津が入手している情報では、あの営業の二人は、違法投棄ではないかと思いつつも、 頼まれて捨てに行っていたという。 捨ててくる代わりに、自分の売る商品を採用して貰っていた。 捨てているものは、実験用の臓器とは聞いていたが、それ以上は知らなかった。  少年には、口止め料を払おうとしただけだというが、 それ以上に臓器を持ち帰られてパニックになってしまっていたらしい。 この二人は、自分達の会社に、この投棄を引き受けていることを、 知らせていなかったのだ。 「少年の、今の行方不明とは無関係なのか……」  俺のせいのような気がするが、どこに少年が連れ去られたのか分からない。 「谷津、この付近にさ、俺の会社の車は走っていないかな?」 「探してみるよ」  しかし、探してみても無かった。 そこで、瀬々木の車を探してしまった。 「あるよ、近くに……」  瀬々木は、富士山の見える別荘を持っていた。 別荘というよりも、住居がこっちで、単身赴任に近い形で、会社に通っているのかもしれない。 息子も連れてはきているが、瀬々木の両親はこの付近で、自給自足のような生活をしていた。 瀬々木も週末は、こちらで過ごしているらしい。
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