1人が本棚に入れています
本棚に追加
香ばしい小麦の匂い、私にしか聞こえない時計小鳥の声が休憩時間を告げる。
「女将さん、休憩入ります」
女将さんが大きな声で“はいよ”と言うと、真っ白なパンを渡してくれた。
そのままパンを受け取り、お礼を言った後、店を駆け足で出て行く。
この水の国フォニュアには、45日に一度行われる水上パレードがあるという。
それが今日である。
水路に辿りつくと、道化師達が船の上で芸を披露していた。
魔法がという概念があるこの世界では、こういう原始的な芸が人気だと言うのだ。
「もうこの世界に来てから45日…」
思い返せば、何も起きない45日。
私がこの世界に来た理由が一つも見つからない。
大空を飛び、あのレイという青年に助けられた後、私達は偉い人の元へ連れてかれた。
最初のコメントを投稿しよう!