水面の波紋

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香ばしい小麦の匂い、私にしか聞こえない時計小鳥の声が休憩時間を告げる。 「女将さん、休憩入ります」 女将さんが大きな声で“はいよ”と言うと、真っ白なパンを渡してくれた。 そのままパンを受け取り、お礼を言った後、店を駆け足で出て行く。 この水の国フォニュアには、45日に一度行われる水上パレードがあるという。 それが今日である。 水路に辿りつくと、道化師達が船の上で芸を披露していた。 魔法がという概念があるこの世界では、こういう原始的な芸が人気だと言うのだ。 「もうこの世界に来てから45日…」 思い返せば、何も起きない45日。 私がこの世界に来た理由が一つも見つからない。 大空を飛び、あのレイという青年に助けられた後、私達は偉い人の元へ連れてかれた。
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