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「…伊納、春」
そう口にすると伊納春、同級生がこちらを向いた。
あちらも私の事を認識したらしく、酷く驚いた顔している。
時計小鳥が私の休憩時間の終了を告げる。
「あ、やばい」
休憩時間は既に終わりを告げられ、伊納春などは無視して急ぎ足で店へと戻る。
私を呼ぶ声が聴こえたが、困窮を脱するには働くしかない私はその呼びかけに応ずる事は出来なかった。
「あら、あーちゃん。珍しく遅刻したね」
「す、すいません」
「いいのよ、丁度パレードだったから客足も引いていたし」
豪快に笑う女将さん。
未だに整理出来ずにいる頭の中。
「顔色悪いが、大丈夫か?」
厨房から出てきた旦那さんが、心配げに見てくる。
そんなに顔色悪いの?
そういえば、頭が痛いような、気分がすぐれないような。
心配させないように笑うとさらに怪訝そうな表情をするものだから、すぐに無表情になった。
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