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侍女レ二に手を引かれるがまま、席へと連れられると目の前に伊納春が座っていた。
どこか鋭い眼光。
彼もまた来たばっかりなのか、状況を把握しきれていないだろう。
「なんで、市子梓がいる?」
「なぜ、伊納春がいるの?」
彼と私の声は見事に被り、むっと睨むと相手も睨んできた。
元の世界では特に大きな接点はなく、その不愛想な表情が好印象を抱くことはなかった。
当時は、何故こんなガン垂れ野郎がモテるか理解できなかった…今もだけど。
「おやおや、君達お知り合いかい?」
声がする方へ視線を向けると、青年レイの横にドット公爵がいた。
慌てて深々とお辞儀をする。
「はい、あまり詳しくないですが、伊納春の事は少し知っています」
「ほう。君もこの世界ではなく、異界の者なのですかな?」
「はい」
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