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「ところで、神社というのはどういうのですかな?」
ドット公爵がチョコレートケーキを頬張りながら言う。
侍女レ二がはしたないです等と注意すると、公爵は“黙れ”と言って黙らせてしまった。
「私達の世界、日本では神を社に祀り、拝む場所。こちらでいう神殿と同じ役割ではないでしょうか」
「ほう、なるほど。やはり君達がいた日本というのは差ほど変わらない文化なのだな」
「祀ってはいるが、俺達の国の人々は神様とやらを信じているのは少ない」
「ほう、ほう…そこは私達とは違う文化ですな」
伊納春は行儀悪く、チーズケーキにフォークを突き刺していた。
瞳には恨み、声には憎しみが篭っている。
ドット公爵は伊納春の行儀の悪さを気にせず、笑顔でチョコレートケーキを頬張っていた。
…私には伊納春が神を嫌っているように思えた。
しかし、神が嫌いだとしたら彼は何故、共明神社の神木にお祈りをしたのだろう。
伊納春を覗いて見ると、険しい顔をしているがどこか弱々しく見えた。
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