プロローグ

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私はやらかしてしまった。 学校の屋上がどんな所か、という好奇心で立ち入り禁止区域に入った。 好奇心は恐ろしい、普段やらない行動をさせる。 ただ屋上から見た校舎はどんなものか見たかったのだ。 夕日がゆっくりと沈み、こんな風景を背景に告白とかされたい等、ロマンチックな妄想を広げていた時だ。 不運にも先生に見つかり、私は足を滑らせ、そのままバランスを崩し落ちた。 そんな陳腐な好奇心などグッと抑えればよかったのにと後悔はした。 ただ、悲鳴なんて出なかった。 あー、終わったなって、これから身に起こる痛みを想像なんてして、少し吐きそうになっていた。 屋上は地上にいるよりスカートが靡いたなんて、くだらないことを考えて気を紛らわせたけど、すぐにそんな考えが消し飛ぶ。 見覚えの映像が頭の中で流れた。 カタカタとカタカタと射影機が高速回転をして動き出す。 今までの思い出が走馬灯として涙と共に流れる。 まだ、死にたくないのに。
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