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「うぅ…」
「市子様、降りるので舌を噛まないように」
そう言うと、一気に急降下をする。
遊園地のフリーフォールを体験している気分だ。
「うぐっ」
お尻から着地したので、腹から変な声が出た。
恨むように侍女レニを見ると、彼女はくるりと回りスカートを靡かせて優雅に着地してみせた。
侍女レニの服装は女中たちと違って、足が一切見えないロングスカートを着用している。
綺麗に弧を描いたスカートは、普段見えない足が見えたわけで…
チラリと見えたナイフの柄の部分を思い出し、青ざめる。
侍女レニのいう事は素直に従おうと決心した。
「ほっほっほ、こりゃいいもんを見れたわい」
麦わら帽子を被ったにっかり笑いが特徴のお爺さんが木の影から現れた。
庭師のレゴだ。
ドット公爵家の庭師がここにいるという事は、屋敷に着いたのだろう。
魔法って凄いと感心すると、悪寒が走る。
冷気を感じる方へ見ると、相変わらず無表情の侍女レニが立っている。
そのうち辺り周辺を雪化粧してしまいそうだ。
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