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「ほれ、そこの若いのもいいもんを見れたじゃろ?」
そんな侍女レニの状態など気にもせず、庭師レゴが木に話しかけた。
正確には木に隠れていた伊納春なのだけど…木の影から現れた彼の顔は真っ赤だ。
意外にウブな少年らしい。
侍女レニは先程と打って変わって、優しい雰囲気を醸し出した。
「伊納様、丁度いい所にいましたね」
「そうじゃな、いいの見れたな」
「レゴ爺様は黙って仕事でもしてもらえないでしょうか」
侍女レニの冷たい声音にしゅんと落ち込んでしたまった庭師レゴは、いそいそと庭の手入れを始めていた。
「伊納様、準備は終えたのでしょうか?」
「あ、ああ」
伊納春が顔を少し赤くしながらも、木の影から小さなリュックを取り出してきた。
侍女レニは満足気に頷くと、いつものように手を二回程叩き、魔法を唱えた。
すると女中二人がすぐに訪れる。
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