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「あの森は冒険者しか入れないハズなのですが…」
「安心してください。あの土地は公爵様の管轄なので」
「権力乱用ですか」
「そうですね」
全く否定もしない侍女レニにがっくりと肩を落とす。
何故、私がニア湖の森に行かねばならないのか、全く理由が分からない。
ましてや魔物がいると言われているのだ、行きたくないに決まっている。
でも、行かなければならない。
「私、戦えないですよ」
「伊納様にお聞きしました。弓の扱いがとても上手だと」
「伊納め…」
侍女レニの言うとおり、私は弓を扱うのが上手だと自負している。
幼い頃に大的式の練習で的を射る……養父、に憧れて……始めたんだっけ。
あまり思い出さないようにしていたけど、ふとした事で思い出してしまう養父の存在。
もう会う事はない、そう思うと――
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