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ところがいつまでもその時が来ない。
そろそろ落ちてもいいじゃないのと目を開けたら、あっと驚くような景色が広がっていた。
モスグリーンの大樹木を包むように広がる青空のような花畑。
あまりの綺麗さに頭の中の射影機は映像を流すのを止めていた。
景色に気を盗られるのも束の間、今度こそ悲鳴を上げた。
「い、いいいいひゃーーーー、ここどこなのーーーー?!」
着実に近づいてくる地面、自分が出した金切り声の言葉は自分でも理解できずにいる。
やだ、やだ、やだ。こんな訳のわからない状況で死にたくない。
お願い。夢なら、早く醒めてよ。
『風よ』
ガクンと大きく体が揺さぶられ、何かに包まれるような感覚に襲われる。
そして地面は目と鼻の先にある。
どっと溢れる脂汗は拭くことも出来ずに落ちる。
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