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プロローグ
――かみさま、わたしは何のために生まれてきたんですか?
狭い部屋の隅で震え少女は膝を抱える。
左頬には痣。殴られた右の口の端には血が滲んでいる。
隣の寝室では絡み合って眠る男女。月光が差し込むのは窓のあるその部屋だけ。
男が好むタバコが、少女に焼き印をつけた。
女が好む玩具は、少女以外居なかった。
家でも、学校でも、彼女の拠り所はどこにもない。家の外でも、学校の近くでも、助けてくれる人間はいない。
――逃げたい。でも夜道も怖い。
最近、子供を標的とした殺人事件が後を絶たない。発見された死体は皆、硬いもので何度も打たれたかのように顔や身体に歪な穴があいていた。そしてそのほとんどが首に鎖で締めつけられたような痕が残っていたという。
――生きるのがつらい。でも殺されたくない。
毎年クリスマスが来るたびに少女は同じことを願う。両親に愛されたいと。けれど未だ叶わない。他には何もいらないとさえ思っていたのに。
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