第4話 死を運ぶ者

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返された脅し文句を聞いても相変わらず眉一つ動かさない無表情のレイス。 ヴィンセントの言葉を無視して、今度は周りを囲んでいるヴィンセントの手下達に向けて新たに宣言する。 「ヴィンセント・カーンの手下共、今すぐ逃げれば殺さないでやる。生きていたければさっさと消えろ」 レイスはそう言い放ったが、ヴィンセントの兵士としてここにいた人間をこの町の人が受け入れてくれる訳はない。 ヴィンセントという後ろ盾を失った一兵士に町の人たちが恐れる事は無いのだ。 つまりここにいる人間に出来るのは、『他の町まで逃げる』か、『今ここでレイスを殺す』の二択のみ。 しかし前者の選択では、この町の人間が情報をリークしてしまったら、他の町と言えど安全な場所とは言えない。 さらにこの町の人間が復讐する為に追いかけて殺しに来る可能性も十分考えられた。 故にこのままレイスにここで死んでもらう方が手下達にとっては都合がいい。 レイスがここに来るまでの間に何人もの人間を斬り捨てて来た事を考えれば単体で殺す事は難しいが、幸いここにはまだ二十人ほどの同胞がいるので数で押せばどんな手練でもなぎ倒せるほどの力となる。 彼らの頭の中に浮かぶ選択は軒並み後者であった。
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