第4話 死を運ぶ者

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零れる悔し涙と共にレンの体から力が抜けそのままベランダにへたり込んでしまう。 ネフィルの死、信じていた者の裏切り、立て続けに襲い掛かる心への負担、彼女にはまだ抱えきれる程の重さではない。 「こんなのって……こんな残酷な真実なんて……知りたくなかったよ……。なんでこんな事に……なんで、なんで……」 その時、心が壊れかけた少女を嘲笑うかの如く、一際大きな雷が鳴り響いた。 その雷が合図と言わんばかりにヴィンセントは声を張り上げる。 「殺せぇっ!」 周りを囲んでいた手下達が一斉にレイスに襲い掛かる。 最初にその刃を向けたのはレイスの背後、持っていた剣を両手で勢いよく振り下ろす寸前、レイスは振り返るのと同時に流れるような身のこなしでその男の横を通過すると、男が振り下ろした剣は真っ二つに分断され、腕と首も同時に切り落とされていた。 さらにその一振りで横にいたもう一人の胸元を切り裂く。 「ぐあああああああああああ!」 噴き上がる鮮血と悲鳴。
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