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誰しもがその光景に絶句した。
「嘘だろ……」
襲いかかった二つの刃をレイスは素手で止めていたからだ。
目にも止まらぬスピードで振り下ろされた刃をいとも容易く、しかも二つ同時に指でつまむように受け止めてしまったのだ。
そこからの動きも早く、強烈なパンチを繰り出して片方の男を吹っ飛ばしたレイスはそのまま剣を奪いもう片方の男の首を切り裂く。
大量の血が吹き上がり辺りは一瞬にしてどす黒い赤に染った。
あっという間に何人もの人間を殺したレイスを見て、いよいよ残された手下達も足を竦める。
人間離れした動きを目の当たりにして、その場の誰もが本能で殺されると感じ取っていた。
死にたくないという強い思いが、その内の一人を『逃走』という行動に駆り立たせる。
「ひぃっ……た、助けて……」
足をもつれさせながら走り出す手下の一人。
しかし彼の願いは虚しく散る。
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